第31回日本アルコール関連問題学会を終えて

 この学会は、昔はアルコール問題にかかわっている関係者が年に1回集まってアルコール依存症の勉強をしたり、夜は酒などを飲みながら一晩中語り明かすという、とても親睦に満ちた会でしたが、いつの間にか学会に名称を変えて学術的になりました。今年は開催地の順番が東京で、事務局は榎本クリニックが引き受けてくれました。榎本クリニックのケースワーカーさんたちが事務局の運営をするのですが、外部からもクリニックのPSWや心理士、精神科医、保健師、看護師など10人位が実行委員になって、月1回実行委員会を開いてきました。私もお手伝いをしました。榎本クリニックのケースワーカーはこの学会に出席したことがないのがほとんどだったので大丈夫かな・・?と心配していましたが、他の学会を開催してきた実績もあって案外うまく運営できていました。
 そして、7月17(金)、18日(土)に池袋のメトロポリタンホテルで学会は開催されましたが、参加者は5〜600人位かな?東京で開催される学会にはあまり集まらないのが通常です。プログラムの内容もあるでしょう。私は“児童虐待を中心としたアルコール家族への介入と支援”の分科会を自分で企画して、話題提供者にもなりました。なぜ企画したかというと、アディクション分野と児童福祉分野は依然として乖離しているような状態で、依存症の専門医(一部の先生は違います)は児童虐待にはあまり関心がないし、児童福祉関係者はアディクションという概念さえ知らないというのを日頃実感しているからです。本当に両者には高い山があるな・・・。児童虐待にかかわるにはアディクションは基礎的知識として必要でしょうと言いたい。でも、分かってくれない。
 分科会では、私が開業してから数年かかわってきたアルコール家族の児童虐待事例を報告しました。とても難しい事例でここまでよく回復した、自分でもよくやったな・・と褒めてあげたい位の支援のプロセスと報告なのです。会場では精神科医や心理士の先生方から質問がいくつかありましたが。仙台の石川先生は、アディクションと児童福祉には乖離があるということについて「思い切ったことをよく言いましたね」と後で言われました。しかし、現場の保健師さん達からは何の感想もなく、意見もなく、質問もなく、分かってくれたのかどうなのか反応もないので寂しい限りです。保健師って他者をエンパワメントする言語力が低いのでしょうか?一生懸命事例をまとめて報告したのに残念でなりません。
 今年の11月に日本子ども虐待防止学会がさいたまでありますが、そこでも筑波大学の森田先生が企画して“アディクションと児童虐待”の分科会を開催します。私も話題提供者になって欲しいと依頼があったので、家族再統合のプロセスを中心に話そうと思っています。参加したら一言でもいいから感想なり、意見を言って欲しいですね。

2009年7月