生まれて初めての経験
年齢を重ねてきてある程度はいろんな経験をしてきましたが、今回、法廷に立ったのは生まれて初めての経験でした。ある弁護士さんから「情状証人」になってほしいと依頼がありました。情状証人とは、情状鑑定とは違い、ランクが一つ下のようですが専門的立場から事件を起こした被告人の行動や背景などについて解説や意見を述べたりするそうです。なぜ、私が選ばれたのかと聞くと、生活支援センターの指導員から紹介されたということでした。情状証人をする被告人は、私のクライアントでもなく、まったく関係ない人です。弁護士が家族の背景や生活歴が調べていくと、父親からの激しい虐待や母親からのネグレクトなどがあったので、そこを抜きにして語れないのではということで依頼されました。
「虐待と犯罪」については、文献もあまりないので、5月はそのことを考えるだけで頭が痛くなり大変でした。弁護士さんと訊問の打ち合わせもしなければいけないし、自分なりの考えを整理しなければいけないし、慣れない分野に手をつけるのは本当にストレスです。事件のことはプライバシーがあるので書けませんが、法廷に立った感想を書いておきます。
法廷は傍聴席が50〜60人位入れそうな一番大きな部屋でした。ほぼ満席で記者席と傍聴席が分けてありました。一番正面に裁判長が、その横に2名の裁判官、下の段に書記官や事務官(?)が座り、私の左手には被告人の弁護士2名、右手には検事、被害者の弁護士と家族が座っています。被告人は証人の斜め後ろの椅子に警備が6人付いて座りました。
裁判長が扉を開けて入ってくると起立と礼をしてからみんなが座り、そして私が呼ばれました。前もってサインした「宣誓書」を読み上げてから、弁護士の訊問が始まりました。これはある程度打ち合わせして回答を用意しておいたのですが、証人はメモを見てはいけないことになっているそうです。暗紀しておかなければいけないのですが、年齢的にも記憶力は落ちているし、緊張はする場面だし、傍聴人はもとより被告人が後ろにいるので、ただならぬ緊張感の中で話しました。手の平にキーワードを書いておいたのも、すっかり忘れて見る余裕もありませんでした。それだけではなく、今度は検事が訊問してきますが、何を言ってくるかはまったく予測がつかないので用意もできません。重箱の隅をつつくようなことをしつこく、しつこく聞かれました。同じような質問をしてくると、弁護士から「そのことは先に説明している」とか、介入してくれます。土曜サスペンスのテレビと同じ場面だったので、思わず「同じだ・・・」と感激!!
最後は、裁判官と裁判長から一つずつ質問がありました。これはとてもいい質問でさすがだなと、私の気持ちや言っていることを分かってくれているなという印象でした。検事の質問にちょっと頭にきていたので、最後は良い内容で締めくくれてよかったです。でも、この間の疲れ方は、本当に心身共に疲れた〜という感じで、何をする気力もなくなり、肩はこり、土日に高湯温泉に行ってきた癒しもぶっ飛んでしまいました。
この事件を振り返ると、虐待を受けている子どもたちの成育の過程をしっかりフォローしていかなければ犯罪者になることもあるので、子どもへのかかわりはより求められているし、非行少年や犯罪者を出さないような町にしていかなければと思いました。これからも、虐待された子どもたちの被害症状や予後について研究を続けていきたいです。