2008年のブログ
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“東久留米市方式乳児健康診査虐待予防
   スクリーニングシステム手引き”について

 今年度も終わりになりましたが、世の中は暗いニュースばかりで、この先が読めません。物価は上がる、株価は下がる、家族殺しは増える、子どもの虐待死も減らない。私がスーパービジョンに行った2ヶ所の市で、奇しくも同じ月に虐待死がありました。その一つが東久留米市です。東久留米市は、18年度から多摩小平保健所の東京都課題別地域保健医療推進プランのモデル市として、“南多摩方式の子育てアンケート”を使用して乳児健診を実施してきました。南多摩方式の子育てアンケートはエビデンスがあり有効な方法ですが、点数化するのに人手がかかるなどの問題点があり足踏みをしている市町村もあります。
 私は長年江戸川区のスーパービジョンをしていますが、江戸川区の保健師たちはスクリーニングも手早くやっているので、「一度見学してみたら?」と勧めました。実際を見て「目からうろこ」だったそうです。
 それらを踏まえて保健所との共同作業で、“東久留米市方式乳児健康診査虐待予防スクリーニングシステム手引き”を作成したばかりのときに、7ヶ月の乳児と母親を父親が殺害した事件が起こりました。保健師たちはショックでした。昨日、死亡例の検証検討会に出席して振り返りをしてきました。そこで明らかになったことは、①子育てアンケートの点数が低くても母親だけでなく父親の情報も重要であること、②健診の初めから終わりの保健指導からまでの情報を総合的にアセスメントすること、③特に父親が精神の既往歴があるとか睡眠剤・安定剤の服用をしている場合は受診しているからと安心しないで家庭訪問をしておくこと、④ママ友がいるからと安心しないこと、⑤一晩中夜泣きやなつかないという言葉は危険信号、⑥母子健康管理カードの記録は係長や課長が目を通し担当者の抱え込みをさせないことなどです。江戸川区を参考にした東久留米市方式の子育てアンケートは、父親の既往歴などいくつかの危険項目に☆印がつけられるようになっています。☆印がつけば点数が低くてもフォローします。健診のやり方も注目すべき改善店があります。今回の事件でこのアンケートはエビデンスがあり、さらに有効性が実証されました。子育て支援は母親中心になりがちですが、父親も含めた家族全体の視点でかかわることが重要です。
 がんばっている市でも虐待死は起こります。でも、死亡事例にふたをしないで、検証をすることが次の虐待死を防ぐことになるのです。検証作業は時をおかないで早めにするのがコツです。担当者はつらいでしょうが、自分自身を振り返り、メンタルヘルスを維持するためにも勇気を持って行うべきです。検証をすると、チーム全体のスキルやアセスメント力がアップしますし、市としての課題や情報の整理もできて理論化に一歩近づきます。
 厚生労働省の死亡事例検証専門委員会報告でも、妊娠初期からの母子関係の問題などが指摘されています。3〜4ヶ月の健診を丁寧にやればハイリスクやグレーゾーンは把握できますので、乳児健診を見直したいと考えている市町村は、東久留米市方式のスクリーニングシステムを参考にするといいと思います。

2008年3月