第13回日本子ども虐待防止学会みえ大会特別講演
心を育てる読み聞かせ〜絵本の力 再発見〜 柳田邦男氏

 みえ大会は12月14(金)〜15日(土)に津市の三重県総合文化ホールで行われました。私は前日から理事会・評議委員会に出席しておりました。今年で学会の監事も任期終了ですので、肩の荷が下りたという感じです。今度は評議委員になったので、毎回の理事会に出席する必要はなくなって気楽になりました。今までも何も責任を負うようなことはしていなかったのですが、大先生方と一緒の席に着くのはとても気が折れました。
 学会では、私が話題提供する分科会「DV被害後の母子関係再構築への支援」もあったのですが、何より印象に残ったのは、柳田邦男氏の講演でした。柳田氏は絵本の研究をしているのだそうです。今の世の中は親世代でさえもバーチャルなメディアとかかわっており、生身の人間とかかわる時間が少なくなっていると、コミュニケーションの危機を述べておられました。例えば、母親たちが10人集まってお乳を飲ませていても、10人が10人とも携帯でメールしながら飲ませており、誰もお互いに会話をしていないし、赤ちゃんの顔も見ていない光景があるというのです。
 赤ちゃんと親のアタッチメントをきちんとしないと、赤ちゃんの情緒や感情、コミュニケーションは育たないというのはよく分かっていることです。これは私もいつも感じていて、どうやって愛着を育てていくかは母子保健の課題でもあります。アメリカでは、「赤ちゃんにテレビを見せるべきではない」という勧告を小児学会でしているそうです。0歳児から絵本の読み聞かせをやると100%いい子に育つようになると、自分の知り合いに助言した子育てのことも話していました。
 
絵本の読み聞かせの効果としては、1言語力が伸びる。2感性・感情が発達する。3文脈・理解力の向上で人間関係の理解につながる。4肉声、スキンシップを伴ったリアルな母子・父子関係のアタッチメントができる。5子ども自身が唯一時間をコントロールできるメディアであると述べていました。全くそのとおりだなと思いました。私は、0歳児のグループ(MSG)を市町村で実施するときに、ミーティングの前に30分くらい絵本の読み聞かせも取り入れてもいいのではと思いました。
 絵本がいいことは分かっていても、どんな絵本がいいのかが聞きたいところです。柳田氏からいくつかの絵本のスライドを見せてもらいましたので、ここでも紹介しておきます。絵本はアニメなど流行のものでなく、下記に紹介したようないい絵本を揃えて活用し、母親たちにもその効果などを伝えていけばグループもよくなるし、いい子が育つようになるのではないでしょうか。
 タイトルだけですが、関心のある人は、自分で調べてみてください。

ソロモンの指輪
お母さんになるってどんなこと?(内田りんたろう)
友だちシリーズ(内田りんたろう)
オウエンとムゼイ
ヴァイオリンイスト
夜鷹の家出(宮沢賢治)
アンジュール
お兄ちゃんがいてよかった
あかいハリネズミ
くもをおいかけてごらんピープー(子どもの心の発達や自立にためになる)
月夜のみみずく(父親のかかわり、心の発達)
あの森へ
だいじょうぶだよ、ぞうさん(別れや喪失体験を教える)
わすれられないおくりもの
ごんぎつね
雪とパイナップル(鎌田慧)
エリカ
リエールおじさん
レイチェル(レイチェル・カーソン)

2007年12月