軽度発達障害の勉強会に参加して

 最近の話題として、発達障害のことが医療や学校現場でも問題になっています。先日、文部科学省は発達障害を抱える児童・生徒を学校生活でサポートするために、支援員を配置する旨を発表しました。02年の文科省の調査では(LD.ADH)高機能自閉症などが疑われる生徒・児童は6.3%であるということです。
 子ども虐待にかかわる現場においても、親に発達障害が疑われたり、子どもにもその疑いがある事例は少なくありません。実際どの位の子どもたちに発生しているのか定かではないですが、さまざまな場面で発達障害のキーワードが出てきています。私の相談室でも、クライアントが自分の親もそうではないか?きょうだいもあやしいとかいうこともあって、これはしっかり勉強しておかねばと思って「依存症と軽度発達障害」の勉強会に出てきました。ギャンブル依存症のリハビリ施設である「ワンデー・ポート」が主催した会です。
 講師は、埼玉県精神保健福祉センターの児童精神科医の朝倉先生でした。依存症の臨床も経験されたということで、大人の軽度発達障害についてもよいお話が聞けました。パチンコやパチスロをやるギャンブラーには広汎性発達障害(PDD)が多いそうです。
 軽度発達障害とは、広汎性発達障害(高機能自閉症、アスペルガー障害)、注意欠陥多動性障害(ADHD)で、IQ70以上をいい、知的には低くないので、遅れではなく生まれつきの障害です。乳幼児期の異常行動についてもレジュメがありましたので、保健センターでの健診アンケート項目の見直しにも活用できそうです。横浜市中区福祉保健センターは、1歳半健診、3歳児健診で発達障害の疑いのある幼児をスクリーニングして適切にフォローをしています。先日、就学児のプログラム“なかマリン”を見学させてもらいましたが、指導員と児童が1対1でプログラムに取り組んでいました。家族の勉強会や夏祭りをしてグループで動くこともしているそうです。ここは中部療育センターという専門機関もあって施設には恵まれているのですが、とても先進的な実践です。
 また、中学生が自分の家に放火して継母ときょうだい2人を焼死させた奈良の事件のドキュメント「僕はパパを殺すことに決めた」の本を読んでみると、この少年も精神鑑定の結果「広汎性発達障害(特定不能の広汎性発達障害)」であると診断されていました。少年事件のなかには、広汎性発達障害の子どもが他にもいるそうです。
 私が理事長をしているNPO法人STORYでは、アルコールやギャンブル依存症などの本人が通所してリサイクルショップや紙漉きなどの作業に従事しています。なかには「変わった人だな・・」「話が通じないな」「この人の特性かしら」など、対応が非常に難しい人もいます。よくよく判断すると、やっぱり発達障害が疑われます。だから対応が大変だったんだなと納得がいきました。軽度発達障害の人は、ミーティングでテーマに沿った話ができない、話に変化がない、時間の配慮がないなどと、グループミーティングでの変化は困難なのです。しかし、作業については、指導員の粘り強い対応で少しずつ変わっていき、今では酒をやめ、作業所も卒業し、清掃の仕事に就いてしっかり回復しています。発達障害だからとあきらめるのではなく、傷害を理解した対応をしていかなければと、強く思いました。STORYの職員も勉強会に出てくれたので、うれしかったです。

2007年8月