ネットワークという言葉は、今では一人歩きをしており、どこでも、誰でも、二言目には「連携」とか「ネットワークが大事」といっていますが、真のネットワークがわかっているのか、自分たちがもっているのか疑問に思います。真のネットワークは一朝一夕にはできません。長いかかわりがあってこそ生まれるものだと思います。
私は12年前からアルコール作業所(今はNPO法人「STORY」)の運営にかかわってきました。一緒にやってきた同じく運営委員のPSWの人に、先月の運営委員会でケースの相談を受けました。「思春期病棟に入院している17歳の女子が、虐待なども受けてきているので、家にも帰すことができないし、一人暮らしをさせるのも無理なんだけど、どうしたらいいかしら?」
一番難しい年齢です。児童相談所に相談しても何もできません。学業も途中、仕事にはまだつけないし、治療もしなくてはいけない。親を頼ることはできない。家族関係もむちゃくちゃだということです。思春期の女の子の行き場所は現実にはなかなかないのですが、以前からSTORYとも連携してきている「児童自立援助ホームの“いこいの家”はどうかしら、私から紹介された、そして自分も運営委員をしているということを言えばいいんじゃない?一度相談してみたら?」と助言しました。そうしたら6月の運営員会の後で、「いこいの家の施設長に相談したら受けてくれた。見学に行った日がちょうど彼女の誕生日だったら、17本のローソクを立てたケーキを用意してくれていたの。それもさりげなくね。彼女は誕生日のお祝いなんて今までしてもらったことがなかったし、初めてだってすごく喜んでた」ということでした。
とてもうれしいことです。二人で「よかったね。12年ボランティアで運営委員をやってきて、しかも作業所と自立援助ホームの信頼関係もできているからだよね」と、今さらながら長年の地道なボランティア活動が、ケースの対応にもいきるのだというのを実感しました。いこいの家とはこれまで年2回バザー用品の搬入や片付けなどのお手伝いもして、STORYも自主製品の販売をバザーでさせてもらっています。また、いこいの家に入所していた薬物依存症のケースをアルコール作業所で受け入れてきた経緯もありました。お互いに助け合いながら、そして感謝と尊敬の心を持ちながらの関係ではないかと思います。
真のネットワークとは、なんでしょうか?私は、必要なときに、困ったときに、相手を受け入れていけること。お互いが必要なことを援助できる関係ではないかと思います。それには相手のことをよく知り、尊敬し合う関係になっていなければいけません。この出来事は私たちにも、そして17歳の女の子にも、ひとすじの光明をもらったような気がして、とても心温まる話でした。