伊豆アンモナイト博物館のホームページには、「アンモナイト(ammonite)は、約4億年前に現れ、約6500万年前の中生代白亜紀の末に、恐竜などとともに地球上から絶滅したイカやタコに近い生き物(頭足類)でした」と書かれている。どこで手に入れたのか忘れてしまったが、ぼくもアンモナイトの化石をひとつ持っている。机の上にそれを置いてながめているだけで、なんだか遠い昔に戻ってゆけそうな気もしてくるから不思議だ。
 こころの相談室「リカバリー」が、来月には5周年を迎えることになったので、これを機にロゴを作ってみたいと考えた。回復はよく螺旋(らせん)階段に例えられる。円筒の上から見ると、回復したり後戻りしたりしているように見えるのだが、円筒の横から見れば少しずつだが螺旋状に登っているからだ。そんなイメージでロゴが出来ないものかと、デザインを中野照巳氏にお願いした。以前から彼のセンスに惹かれていたぼくは、『My Story』の装幀でさらに彼のセンスの良さに惚れ込んでいたからだ。
 たんなる螺旋階段ではなく、もうひと捻りできないだろうか。螺旋階段のような姿をした生物は自然界にいないものか。図鑑をめくりながらぼくは考えた。そうか、巻き貝だったら貝殻は螺旋状じゃないか。よし、これを材料にイメージしてもらおう。そう思って彼に電話をした。数日して彼から何種類かのロゴがファックスで届いた。言われてみれば確かにそうなのだが、巻き貝の螺旋は、ぼくたちが栄養分を頂いた「残り物」に似ているのだ。否定したい気持ちが強まれば強まるほど、残念ながらこれはよく似ている。
 ここで彼のセンスが一段と光り輝いたのである。それがアンモナイトだった。ロゴを見た時に、深い谷底から螺旋状にここまで回復してきたというイメージを持たれる方もいらっしゃるかも知れないし、ここから天に向かって螺旋状に回復してゆくというイメージを持たれる方もいらっしゃるかも知れない。どちらにしても、回復(RECOVERY)にはちがいないだろう。
 そしてこのロゴが入った5周年記念のメダルを、クライエントをはじめとするこころの相談室「リカバリー」のサポーターの皆さまに、感謝をこめてお贈りしたいと思っている。メダルの裏面には、平安の祈り(Serenity Prayer)が刻まれている。このメダルをあなたご自身の成長や回復の道具としてお使いいただけたら望外の喜びである。

(吉岡 隆)

第6話 回復とアンモナイト

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