
こころの相談室リカバリーは、早いものでこの6月に3歳を迎えることが出来ました。これもひとえに皆様からの大きな支えがあってこそと深く感謝しております。実は開設当初に、ある大学からスチューデント・カウンセラーの依頼を受けました。実際に相談室の場所も見せていただいたのですが、同窓会事務室と兼用であったり、学生や教職員の出入りが多かったりと物理的条件にまず問題を感じました。更に相談に対する評価がきわめて低かったために、結局お断りすることにいたしました。
例えば、企業内に相談室を設けたとしても、クライエントはどこまで自分の本当の気持ちを表すことができるのでしょうか。給料の出所は、目の前にいるカウンセラーもクライエントも同じなのです。カウンセラーが自分を守ろうとすればするほど、カウンセラー自身の身分も危うくなるかも知れません。また、企業内の相談室であるならば、守秘義務などというものがうたわれていても、いつ自分の話したことが人事課に漏れるか分かりません。
こうした問題を解決するのに一番良い方法は、第三者機関に相談を委ねることでしょう。そうすれば、クライエントは安心して自分の話ができるでしょうし、カウンセラーも企業と対等な位置関係でクライエントの秘密を守ることができるのです。
委託カウンセリングのアイディアは、ある村から生まれたのですが、2000年に入り、まず与野市からカウンセリング委託のお話がありました。担当者からこの事業の趣旨を伺えば伺うほど、クライエントの立場を大事にされていることが十分に伝わってきました。そして、この度大宮市・与野市・浦和市の合併により、この事業がさいたま市に引き継がれました。又、三芳町とも昨年から契約を結んでいます。
さて、2000年の夏には、アルコール依存症者のセルフヘルプ・グループであるAA(アルコホーリクス・アノニマス)の世界大会がミネアポリスで開かれ、私も妻と参加いたしました。1935年に誕生して以来65年もの間に世界中にメッセージが運ばれ、沢山の命が救われたのです。
「リカバリー」でも、AAの12ステップを基盤においた相談活動をしているわけですが、回復者の話や姿以上にこのプログラムの効用を説明できるものはないように思います。
援助者の大きな役割は、ふたつあります。ひとつはクライエントの回復の邪魔をしないことです。そしてもうひとつは、クライエントの回復の手助けをすることです。回復の手助けどころか、傷をつけないことも容易なことではありません。援助者が自分の課題を知っており、それを解決するための努力をしていなければ、意識せずに傷つけている場面が多々あるに違いありません。援助者にこそセルフケアが必要なゆえんです。
それが言語的なものであろうとなかろうと、どういうものがクライエントのセルフエスティームを高め、私のセルフエスティームを高めるか。逆にどういうものがクライエントのセルフエスティームを低め、私のセルフエスティームを低めるのかに、最近私は注意をはらっています。なぜなら、相談活動というのは、一方的な援助関係ではなく、クライエントと援助者が相互にセルフエスティームを育む場だと考えているからです。
(吉岡 隆)